家族信託は親の財産を管理したり円滑に承継したりするために近年活用され始めています。「親孝行」の一つの形としても注目されているのですが、ここでは家族信託が親孝行といわれる理由について詳しく紹介いたします。
親の生活を支えることができるから
家族信託を始めることで、親の生活費や医療費を信託財産から支払うことができます。その役割を担うのは信託契約における「受託者」と呼ばれる人物であり、家族信託では子どもをこの受託者に選任することが多いのです。
子どもが受託者となることで親も安心して財産を任せられますし、子どもとしても契約を引き受けてきちんと職務を遂行することが親孝行につながります。
また、高齢になってくると認知症を発症するリスクが上がります。そうでなくとも加齢により判断能力は低下してしまうものです。そうなると適切な財産管理をするのも難しくなってしまい、悪徳商法の被害に遭う可能性も高まってしまいます。
- 2025年には65歳以上4人に1人の割合(総数にして700万人弱)で認知症になると予測されている。
- 65歳以上の高齢者を対象とした消費者トラブルの件数は年間で数十万件を超えており、特殊詐欺、悪徳商法に関するものだけでも数万件以上発生している。
しかしながら家族信託を活用していれば信託財産については受託者である子どもが守ることができますし、このことが親の生活を守ることにもつながります。
親の意思が尊重されるから
家族信託を始めるとき、財産を託す親(委託者兼受益者)と財産を託される子ども(受託者)が契約を交わします。
公的な制度ではありませんので信託開始後のルールなどは当事者間で自由に決めることができ、契約内容には親の意思が反映されます。
遺言書の作成や銀行などが提供している信託サービスの利用など、財産に関して意思を反映させる方法は家族信託以外にもいくつか挙げられます。しかしもっとも自由度が高く柔軟に対応可能な手段が家族信託です。
家族信託を始めれば、より親の希望に沿った財産の管理や処分、承継を行うことができ、親の意思を尊重することにつながります。
遺産争いを防げるから
必ず、とはいえませんが、家族信託を始めておくことで遺産分割をめぐる争いを防ぎやすくなります。
- トラブルの内容も大小さまざまあるが、数人に1人の割合で相続トラブルは起こっており珍しいものではない。
- 相続トラブルのうち割合多いのが遺産分割に関するトラブルである。
家族信託を開始して特定の財産を信託しておけば、当該財産は基本的に遺産分割の対象外となるためです。また、信託契約にてその財産の承継についてもルールを定めておけば、遺言書の代わりとして家族信託を活用することも可能です。
争いになりそうな財産を信託しておけば相続開始後の遺産分割協議も円滑に進めやすくなり、家族間での揉め事も防ぐことができるでしょう。親としても、自分自身がいなくなったあと財産をめぐって喧嘩などして欲しくないはずです。
財産を有効活用できるから
さまざまな資産は保有しているものの、上手く活用できず悩んでいる方も少なくありません。特に不動産の取り扱いは簡単ではなく、専門知識を持った方や不動産投資の経験のある方などでなければお得に運用することは難しいです。
- 空き家は環境・衛生・安全の観点からも問題視されており、放置をすることで多くのトラブルを招き得る。
- 「利活用はしていないが放置もできないから」という理由で不動産をただ持ち続けている方も少なくない。
しかし家族信託を使えば、親自身による資産運用が難しくても有効活用は可能です、受託者となる子どもがその運用を代わりに行うことができるからです。
受託者には責任が伴いますが、「〇〇の運用から生じた利益の〇%を報酬とする」など報酬の定めを契約書に記載しておけば、親と子、双方にメリットのある家族信託を始められるでしょう。
家族信託の手続や契約の定め方についてわからないこともあるでしょう。そんなときは司法書士など、法律に強い専門家を頼ってください。
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