遺産の分け方を話し合う遺産分割協議では、相続人全員の合意内容を「遺産分割協議書」として残す必要があります。
作成するだけでなく記載方法にも注意しましょう。特に不動産が対象に含まれているときは登記上の情報を正確に反映させるなど慎重な対応が求められます。

作成前に用意する書類
遺産分割協議書を作成する前に、いくつか書類を手元に揃えておきましょう。
遺産分割協議書作成の準備物 | |
|---|---|
被相続人・相続人の戸籍謄本等 | ・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本(除籍・改製原戸籍を含む)と、相続人全員の現在の戸籍謄本を集める ・遺産分割協議を行う前段階で、誰が法定相続人かを正確に確認するために必要 |
不動産の登記事項証明書 | ・法務局で取得できる書類で、土地や建物について登記上の情報(地番・家屋番号や権利関係など)が記載されている ・不動産の情報を協議書に転記するために必要 |
相続人全員の印鑑登録証明書 | ・協議書に押印する実印が本物であることを証明するために必要 |
登記事項証明書は法務局の窓口またはオンラインで取得できます。
対象の不動産を登記上特定するには通常「地番」または「家屋番号」が必要ですが、これらは普段の住所とは異なる場合があります。わからない場合は法務局に問い合わせるか、固定資産税の納税通知書などを参考にしましょう。
不動産の記載は登記事項証明書と一致させる
遺産分割協議書に不動産を記載するときは、「登記事項証明書に記載されている表示に従って記載すること」を意識しましょう。
固定資産税の納税通知書や評価証明書の情報とは異なる場合があるため(地目・地積・床面積がずれていることがあります)、必ず登記事項証明書を基準にしてください。
土地の記載項目
土地については次の4項目を登記事項証明書から転記しましょう。
項目 | 内容 |
|---|---|
所在 | 土地の登記上の所在(「〇〇市〇〇町〇丁目」など) |
地番 | 土地を特定する番号(住居表示とは異なる場合がある) |
地目 | 土地の種類(宅地・田・畑・山林・雑種地など) |
地積 | 土地の面積(○○.○○㎡の形で) |
建物の記載項目
建物については次の5項目を記載しましょう。
項目 | 内容 |
|---|---|
所在 | 建物の登記上の所在地(「〇〇市〇〇町〇丁目〇番地〇」など) |
家屋番号 | 建物を特定する番号(地番と同じ番号が付されることもあるが、異なる場合もある) |
種類 | 建物の用途(居宅・店舗・倉庫など) |
構造 | 建物の構造(例:木造かわらぶき2階建) |
床面積 | 各階ごとの面積(例:1階 ○○.○○㎡ 2階 ○○.○○㎡) |
マンション(区分建物)の記載方法
マンションなど区分所有建物のうち、敷地権の表示がある場合は、土地と建物を一体として「敷地権付区分建物」として記載するのが通常で、次の3つのブロックで構成します。
- 一棟の建物の表示・・・マンション全体の所在と建物の名称
- 専有部分の建物の表示・・・家屋番号、建物の名称、種類、構造、床面積
- 敷地権の表示・・・土地の符号、所在及び地番、地目、地積、敷地権の種類、敷地権の割合
敷地権が複数筆ある場合もすべて記載しましょう。
区分所有建物は記載項目が多く、一棟の建物の表示に建物の名称があるかどうかによっても書き方が変わるため、専門家に作成を依頼するのが確実です。
最後に全員で署名押印
遺産分割協議書には、相続人全員が自分の名前を記載し、実印で押印するのが一般的です。
協議書が複数枚にわたる場合は、書類のつながりを示すために全相続人で実印による契印(ページをまたいだ押印)も行います。
協議書の完成後にすること

遺産分割協議書が完成したら、それをもとに各種手続きを進めます。
不動産については相続登記(名義変更)が必要で、遺産分割協議書のほか、印鑑登録証明書や戸籍謄本等の必要書類を添付して法務局に申請します。
なお、2024年4月からは相続登記が義務化されており、相続によって不動産の取得を知った日から3年以内に登記を申請しないと、10万円以下の過料を課される可能性があります。
自分で作成するか専門家に依頼するか

遺産分割協議書に法令上の定型書式はなく、必要な事項を正確に記載していれば自分で作成することも可能です。
しかし、不動産に関しては記載すべき事項が多く、些細なミスが相続登記の受理を妨げる原因にもなってしまいます。
不動産が複数ある場合やマンションが含まれる場合は特に記載が複雑になるため、相続問題に強い司法書士への相談を検討してみてください。相続登記は司法書士の専門業務ですし、協議書の作成から相続人の調査、戸籍謄本の収集、登記申請まで一貫して依頼することができ、記載ミスや書類の不備を防ぎやすくなります。
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