【高円寺 司法書士】相続相談サイト|中野司法書士事務所 > 相続ブログ > 遺言代用信託とは?|遺言書との違いやメリット・デメリットについて

遺言代用信託の利用により、ご自身が亡くなった後もスムーズに財産承継をすることができます。また、遺言書よりも柔軟性が高く、より多様な目的に合わせた財産承継も可能です。

この遺言代用信託とはいったい何なのか、遺言書と比べてどんなメリットやデメリットがあるのかをここで解説していきます。

 

 

遺言代用信託とは

「遺言代用信託」とは、財産を受託者へと託し、委託者が亡くなった後の受益者を配偶者や子どもなどに設定することで、遺言書を作成したときと似た効力を生じさせる信託のことをいいます。

 

死後、自らの財産について意思を反映させるには遺言書を作成するのが一般的な方法です。しかし信託を始めるときの契約内容次第で、遺言の代用として信託を始めることもできるのです。

 

遺言代用信託を利用すると、ご自身が生きている間はご自身のために、亡くなった後はご家族のために財産を管理・運用することができます。また、亡くなった後の配偶者やお子さまの生活を経済的にサポートしたり、資産を守ったりすることも可能です。

遺言書との違い

遺言代用信託と遺言書は、いずれも自分の死後の財産の分配を定める手段として使われますが、まったく異なる存在です。基本的な情報をまとめると次のように比較することができます。

 

項目

遺言代用信託

遺言書

利用方法

・受託者と信託契約を締結する

・当事者全員の合意が必要で、一方的に自分の意思を押し付けることはできない

・遺言書を作成する

・自筆証書遺言なら1人で作成できる

・公正証書遺言では公証人と証人が必要だが、内容は好きに考えることができる

効力発生時期

・生前から信託が始まる

・死後に効力が生じる

変更する方法

・受託者の合意が必要

・1人で変更・撤回が可能

費用

・受託者等への継続的な報酬の支払いが必要になることが多い

・自筆証書遺言なら費用は不要

・公正証書遺言では作成時に手数料がかかる

 遺言代用信託のメリット

遺言代用信託のメリットは「柔軟かつスムーズな財産承継ができること」です。

 

遺言書を作成していたとしても、遺言者が亡くなると口座が凍結されてしまい自由に払い戻すことができなくなることがあります。そのことによって葬儀費用やその他費用の支出で困る場面も出てきます。
しかし遺言代用信託を利用すれば信託財産は亡くなった委託者から独立し、凍結などの問題も避けることができます。

 

また、信託の仕組みを活用すれば「毎月一定額を渡す」などより自由度の高い財産承継が実現できます。

 

さらに、死亡後の第2受益者が亡くなった先のことまで指定することができ、2次相続対策にもなります。これは遺言書だとできないことです。

 

他にも次のようなメリットが得られます。

 

  • 相続手続が簡略化される
    遺言代用信託はあらかじめ締結した信託契約に基づいて実行され、信託された分は相続手続から除外される。遺産分割協議も不要となり、相続手続がスムーズに進められる。
  • 財産を効果的に管理・運用できる
    財産を信託しておくと、委託者自身が管理や運用のためにすべきことが少なくなり、手間がかからない。その後も安心して生活することができる。

遺言代用信託のデメリット

遺言代用信託にもデメリットは存在します。次の点には注意しましょう。

 

  • 信託を始めるときに各種手数料の負担がかかる
  • 信託開始後も信託報酬が発生することが多い
  • 契約内容を変更するには受託者と話し合うなど手続が必要になる
  • どんな財産でも信託できるわけではない

 

なお、信託は節税効果を得るために利用するものではありません。信託財産にしておくことで各種税の課税を回避できるわけではないことに留意しましょう。

遺言代用信託を利用する流れ

遺言代用信託はどのようにして始めるのでしょうか。簡単に手続の流れについて紹介します。

※ここでは金銭を承継するケースを想定。

 

  1. 委託者が受託者に金銭を信託する
    委託者本人は、信託銀行等を受託者として信託契約を締結することが多い。信託を始めるにあたって金銭を預けることになる。その後、委託者の生存中はこれまで通り本人が金銭の支払いを受けることもできる。
  2. 委託者が亡くなると誰が財産を受け取るのか、次の受益者を指定しておく
    信託契約の内容に、委託者(兼受益者)が亡くなった後のことを定めておく。遺言代用信託の多くは相続人や関係性の近い親族を次の受益者として定める。また、金銭の受け取り方法や受け取り開始時期、受取金額なども決める。
  3. 相続開始後、設定した受益者に金銭が給付される
    実際に委託者本人が亡くなると、契約で定めた受益者に財産が給付される。これにより葬儀費用や当面の生活費をまかなうことができる。

 

遺言代用信託のこと、遺言書のことなどをよく知りたいという方は専門家に一度相談してみましょう。どうやって遺言代用信託が開始できるのか、手続についてもアドバイスを受けることができます。

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