事例集

死後のペットが心配

このケースの問題点

自分が死んだ後に遺されるペットの世話を託したい。そして、それを託する方法はどのようにすればいいでしょうか。

このケースの解決事例

ここで考えられる方法が【負担付遺贈】です。ペットの世話をしてもらう。その対価として財産の一部を贈るという内容を遺言書に遺すことをおすすめします。
つまり、ペットの世話という負担を条件に財産を遺贈する方法です。

ここで大事なことは、本当にペットをかわいがってくれる人を選び、承諾を得ておかなくてはならないことです。通常であれば親族にお願いしたいところですが、動物が好きでない人を選んで、遺贈を放棄されてはペットがかわいそうです。
そして、もう1つ大事なことは、遺贈を受けた人(受遺者)がちゃんと世話をしているかを監督する人を決めておくことです。考えたくはないですが、財産だけもらってペットを蔑ろにされては遺贈の意味がありません。この対策として、遺言書で遺言執行者を指名しておきます。
遺言執行者は、もし、受遺者がペットの世話を約束どおり行わないときには、相当の期間を定めて履行の請求をすることができます。

10年以上音信不通の弟との遺産分割協議

ケース

相続財産(遺産)

  1. 財産1
  2. 財産2
  3. 財産3

相続人

相続人A、相続人B、相続人C

問題点

  1. 問題点1
  2. 問題点2
  3. 問題点3
  4. 問題点4

このケースの問題点

被相続人が亡くなり、遺産分割の協議をしたいと思っていますが、海外に行った弟と10年以上音信不通になっている。
この場合、分割協議はできるのか。

このケースの解決事例

遺産分割協議は共同相続人全員でしなければなりませんので、行方不明の弟を除いての協議は無効となります。

この場合考えられる方法として次の二つがあります。

1)行方不明者を排除する方法:
生死不明の期間が7年以上の場合、家庭裁判所に失踪宣告の審判を申し立てることができます。この審判が為されると、行方不明になってから7年を経過したときに死亡したものとみなされます。ただし、弟に子がいる場合は、その子が代襲相続人として協議に加わることになります。

2)代理人をたてる方法:
家庭裁判所に行方不明者のための財産管理人(不在者財産管理人)を選任してもらいます。裁判所の許可を得てその財産管理人を加え、遺産分割協議を行います。
日本に弟の子がいて、相続財産を必要としている場合は1)を、弟が戻ってくる可能性がある場合は2)を選択することが最善かと思われます。

認知症の方がいる場合の遺産分割協議

ケース

相続財産(遺産)

  1. 定期預金:600万円

相続人

相続人A、相続人B、相続人C

問題点

  1. 遺言がない
  2. 相続人Cが認知症である

このケースの問題点

遺産分割協議書を作成する際に、相続人の中に認知症や知的障害者等がいるときは分割協議を進めることができないません。

このケースの解決事例

そこで、相続人Cについては、家庭裁判所の後見開始の審判の申立をします。
成年被後見人とし、成年後見人という保護者を付けます。
そして、成年後見人が成年被後見人(病気の人)を代理して遺産分割協議に参加することになります。ただし、成年後見人は成年被後見人にとって不利な協議はできないので、法定相続分に相当する財産は確保する必要があります。
その結果まとまった遺産分割協議でもって、不動産の名義変更や預貯金の払い戻しが可能になります。

遺言を無視することはできる?

ケース

相続財産(遺産)

  1. 全財産

相続人

妻、子供3人

問題点

  1. 夫が「全財産を妻に相続させる」という手書きの遺言書(自筆証書遺言)を残した
  2. 子供が3人いるが、あまり仲よくなく財産分けで揉めそう
  3. 子供が揉めずに財産分けをするならば、妻は遺言を無視するとのこと

このケースの問題点

このケースの解決事例

この場合は、夫が自分で全財産をどうするのか遺言で決め手もいいのだけれど、子供たちに納得させたい。だからといって相続人で遺産分割協議をさせれば喧嘩になりそうだ。だから全財産を妻にという遺言書を残す。それを元に「3人が喧嘩をしなければ…」と条件付きで遺言を残していました。ゼロから始まる遺産分割協議ならば喧嘩になる可能性がありましたが、このような遺言の存在を前提にすれば収まるように収まる、という夫の予想通りになりました。
有効な遺言書があっても、それに従わなくても問題は無い?
実は遺言書があるのならば、そのまま決まってしまうし、遺産分割協議の余地も無いという最高裁の判決があります。

ただし、実務は相続人全員が合意すれば、それに対して訴える人がいませんから、問題が生じません。

法律上では相続人である受遺者(遺言による財産の受取人)全員が遺言を放棄すれば、遺言がすべて失効するので、相続財産全てが相続人のものとなるので、そこであらためて相続人全員で遺産分割協議をすると考えます。

また遺言書に従わない遺産分割協議書になったとしても、登記所も銀行も全く分かりません。

相続人の内に未成年者がいる場合の手続

ケース

相続人

被相続人の妻
被相続人の息子の妻
被相続人の孫(未成年者)

このケースの問題点

相続人の中に未成年者がいる場合の遺産分割協議について、民法では、未成年者は法律行為を行う能力が不完全であるとされています。よって、未成年者本人が法律行為である分割協議に参加することは出来ません。

このケースの解決事例

家庭裁判所への手続き方法
【1】「特別代理人選任の申立て」を行う。未成年者の住所地を管轄する家庭裁判所で親権者が申立人となって行う。
【2】提出書類

  1. 特別代理人選任申立書
  2. 申立人(親権者)及び未成年者の戸籍謄本各1通
  3. 特別代理人候補者の戸籍謄本、住民票各1通
  4. 遺産分割協議書

実際の分割協議書には、未成年者に代わって署名・押印した特別代理人が正式に選任された特別代理人であることを証明するために、審判書を添付することになります。分割協議書は、不動産の相続登記など名義変更をする場合に必要となります。
申立てをしてから所定の手続きを経て、家庭裁判所の審判が下りるまでにはある程度の期間(通常1か月程度)がかかります。

遺言に押印がされていない

ケース

相続財産(遺産)

  1. 不動産:戸建住宅、土地
  2. 定期預金:200万円

相続人

被相続人と内縁関係にある女性A

問題点

  1. 遺言書に押印がされていない

このケースの問題点

女性Aに対して被相続人が「全ての財産を私に与える」という内容の遺言書を残し死亡しました。
被相続人の弟にその遺言書を見せたところ、「これは印鑑がないので無効。全財産を引き渡すように」と言われた。

このケースの解決事例

自筆の遺言書には、法律で極めて厳格な要式を求めています。
それは、自分で遺言書の内容を考え、自分で書くことができることを前提として、

  1. 本文・日付・氏名を全て自分で記載
  2. 印鑑を押すこと

となっているため、遺言は無効となります。
つまりこの要件を満たしておらず、弟さんの言うとおり無効な遺言となってしまいます。

遺産の独り占めされそうな場合

ケース

相続財産(遺産)

  1. 生命保険金1500万円
  2. マンション2つ

相続人

母親、長女、次女

問題点

  1. 遺言書がない
  2. 母が生命保険金を独り占めできると思っている
  3. 母が父親名義の2つマンションを、1つは売却し、もう1つは相続権がない従兄弟に譲ると言っている

このケースの問題点

去年父親が他界し、保険金が1500万円入ってくる事がわかった時、母親が一人でもらえると思い込んでいるようでした。
父親名義のマンションが2つあり、ひとつは売却、さらにもうひとつのマンションは、従兄弟にあげる事にしたと電話で話を聞きました。遺産分割協議などという言葉は一切でません。私はまともに妥当な遺産を受け取りたいです。遺言書も無いと母親・姉・弟も話していました。

このケースの解決事例

マンションは、遺言書で誰かのものとしていない限り、全相続人の同意がないと、所有権移転の登記ができません。遺産分割の話がつかないと、法定相続分どおりの共有となります。生命保険金は、受取人が指定されていない限り、相続財産となり、1人のものにはできません。
まずは、どのような遺産があるかを調査するべきです。たとえば、預金等は、相続人であることを証明すれば、残高などを明らかにしてくれます。

遺言を偽造した兄の相続権はどうなるか

このケースの問題点

「遺産は全て兄に相続させる」という父の遺言書が、兄の偽造だとばれ、その後に兄は法定相続分を主張し始めました。

このケースの解決事例

兄は、父の相続に関しては相続欠格者にあたり、裁判所の手続をするまでもなく、相続権を失うことになります。

相続欠格とは、相続において不当に自己の利益を図った相続人に対する制裁のため、その相続権を失わせる法定の制度です。
相続欠格者には、①生命に対する侵害をした者②遺言に対する侵害をした者とがあります。
前者①は被相続人や他の相続人を死亡させて刑に処せられた者です。
後者②は遺言書を偽造した者のほか、遺言書を捨てたり、隠したり、また、被相続人(父のこと)を強迫して書かせた者などがあてはまります。
ただし、兄が相続欠格者として相続権を失っても、兄に子がいれば、その子がお兄さんの代わりに相続権を取得します。

2通の遺言書

ケース

相続財産(遺産)

  1. 不動産1
  2. 定期預金
  3. 株式

相続人

姪A、甥B、甥Cの3名

問題点

  1. 自筆証書遺言が2通ある。(遺言執行者の指定なし)
  2. 甲金融機関が解約に応じない。

このケースの問題点

自筆証書遺言が2通ある場合、原則直近に作成された遺言のとおりに遺産の移転をすることになります。
そのため、最初に作成された遺言書により一人で相続できると思っていた甥Cと、直近の遺言で一人で相続するとなった姪Aの間で喧嘩が起こりました。
また、今回の法定相続人は甥姪のため、遺言書でもって遺産の全部を特定の者に相続させるとした場合、遺留分の問題は生じません。
解約に応じない甲金融機関に対しては、訴訟も視野に入れて検討する必要がありました。

このケースの解決事例

【1】『遺言書の検認』を行う。

(検認の手続はおよそ1ヶ月前後を要する。)
 ↓
【2】検認の手続が完了後、『遺言執行者の選任』を申立てる。
 (遺言執行者の選任もおよそ1ヶ月前後を要する。)
 ↓
【3】不動産の名義変更の手続、定期預金の手続完了(およそ6ヶ月)
 ↓
【4】相続税の申告・納付

相続手続完了までの期間:約9ヶ月

『遺言書の検認』を終えた後、遺言執行者選任の申立を行います。
遺言執行者の候補者は姪Aとなります。
姪Aが、遺言執行者として選任されれば、手続がスムーズに進みます。

知らない相続人がいた場合

ケース

相続財産(遺産)

  1. 財産は無し
  2. 借金約300万円

相続人

後妻の長男・次男 先妻の成人した子 1人

問題点

  1. 父親には、先妻との間に1人子供がいて、その子とは会ったことがなく存在も知らなかった
  2. 財産はなく借金が約300万円残った

このケースの問題点

父親が亡くなり、父親に財産はなく、借金が300万円ほどありました。
相続人は後妻の子(成人)2人と面識のない先妻の子供(成人)1名。

このケースの解決事例

その相続人には連絡せずに兄弟2人で遺産分割していいですか?というような相談が稀にあります。
残念ながら遺産分割は、相続人全員でやらなければなりません。
この方の場合には、相手の方に連絡をとって話し合いをしたところ理解していただき同意いただけました。

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