【高円寺 司法書士】相続相談サイト|中野司法書士事務所 > 相続ブログ > 遺留分侵害額を相続人に支払えないときの対処法

遺留分侵害額請求を受け、請求された金額を支払う余裕がない場合、どのように対処すべきか悩まれることでしょう。当記事では遺留分の請求を受けたときの対応方法、支払いが難しいときの対処法を解説していますので、被相続人から遺贈や贈与を受けた方はぜひご一読ください。

遺留分侵害額請求を受けたときの基本的な対応

遺留分とは、一定の相続人(配偶者・子ども・父母など)に保障された最低限の相続分のことです。遺言など被相続人の意思によっても奪うことはできない権利で、この保障された額を取得できなかったときに「遺留分侵害額請求」が可能となります。

 

この請求は、遺留分を侵害された相続人が遺贈や特別受益を受けた方に対し、侵害された遺留分に相当する金銭の支払いを求める行為を指します。もし支払いを求められたなら、まずは以下の対応を取りましょう。

 

  1. 支払い義務が本当にあるのか、以下の点を確認する
    • 遺留分侵害額請求権の消滅時効が成立していないか(請求者が遺留分の侵害を認識してから1年経つと時効消滅する)
    • 請求者は遺留分権利者か(被相続人の妻や夫、子など特に近しい血縁関係にあり、かつ相続人でなければ遺留分は認められない。兄弟姉妹は常に遺留分を持たない)
  2. 請求内容が適切か確認する
    • 請求額の計算が正しいか(遺留分計算の基礎となる財産の算定、法定相続分の正確な把握がでなければ正しい金額は算出できない)
    • 請求者自身も生前贈与を受けていないか(遺留分侵害額は請求者自身が過去に受けた贈与分も考慮する必要がある)

 

支払い義務の存在と請求内容に誤りがないことが確認された場合、請求を受けた方は金銭の支払いに応じなければなりません。

支払いに応じる余裕がない場合の対処法

遺留分侵害額請求には金銭の支払いで応じるのが原則です。しかし被相続人から受け取った財産が土地であるなど、そのまま支払いに対応できる形の財産でない場合には対応に困ることもあるでしょう。

 

そんなときは以下の対処法を検討してください。

 

  • 分割払いをお願いする
  • 代物弁済をお願いする
  • 財産を売却して資金を確保する
  • 借入を行う

 

それぞれのポイントや注意点を説明していきます。

分割払いをお願いする

相手方が応じてくれさえすれば、交渉により分割払いにすることも可能です。当事者同士の合意で解決できれば分割の期間や金額に制限もかからず、納得が得られる限り長期での分割も設定できます。

 

ただし、相手方が分割払いの交渉に応じる義務はないため、以下のポイントを押さえて慎重に取り組むようにしてください。

 

  • 支払いが困難な理由を誠実に説明する
  • 具体的な返済計画を提案する
  • 分割払いの期間と金額を明確にする

 

最終的な合意内容は書面に残すべきです。また、支払う側としては不利になりますが、公正証書を作成しそこに強制執行認諾文言(不履行があった場合に強制執行ができるとする規定)を入れることも提案すると信用を得やすくなるでしょう。

代物弁済をお願いする

原則的には金銭を支払う必要がありますが、相手方の同意があれば、金銭に換えて保有する不動産などをそのまま引き渡す「代物弁済」とすることも可能です。特に利用価値の高い資産、あるいは投資的性格を持ち将来的に資産価値が上がる見込みがあるものは、受け入れてもらいやすいです。

 

このとき重要なのは引き渡す財産の評価です。

 

評価方法、金額について意見が分かれて相手方が提案を受け入れてくれない危険性も十分に考えられます。そこで評価額については主観で判断してしまうのではなく、専門家に見てもらうようにしてください。たとえば不動産なら不動産鑑定士に依頼して当該物件にいくらの価値があるのかを算出してもらいます。

 

 

 

 

 

財産を売却して資金を確保する

遺贈などで受け取った財産を売却し、現金化して、遺留分の支払いに対処する方法もあります。遺贈されたのが現金であれば受け取ったものをそのまま支払うだけで良いのですが、金銭以外の財産だとそういうわけにもいきません。

 

前項で紹介した代物弁済に応じれくれればスムーズですが、その交渉も成立させられないときは、請求を受けた方自身で換金して資金を捻出しましょう。

 

ただしこのとき、「時間がかかってしまう」「想定より得られる金銭が小さくなるおそれがある」という点には注意が必要です。不動産だと通常3ヶ月は売却までに期間を要しますし、急ぐあまり適正価格より安価に売却してしまうこともあります。また、仲介手数料などの負担が発生することもありますし、思い通りに資金が確保できないケースもあることは留意しておきましょう。

借入を行う

相手方との交渉が上手くいかず、換金して資金を確保するのも難しい場合、「借入」も視野に入れましょう。金融機関からの借入、あるいは親族からの援助を受けていったん遺留分侵害額の支払い義務を履行し、その後借入先への分割払いを始める方法です。

 

借入だと利息が付くためより大きな負担を負うことになってしまいますが、遺留分侵害額請求に基づく債務を履行できないと遅延損害金が発生するため、早めに対処しなくてはなりません。

 

とはいえ無理な借入で破産をしてしまったのでは本末転倒であるため、返済計画は慎重に検討しましょう。

 

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