遺言書とは、被相続人の最期の意思を実現するための書面のことです。
生前に自分が築いた財産を有効活用してもらいたいときや、死後に遺産を巡り相続争いが起こらないようにしたいとき、または、特定の人物へ財産を相続したいときに有効です。

遺言で決められること

遺言で指定できる事項について、代表的なものは下記のようになります。

  1. 法定相続分(民法に定められた相続分)と異なる相続割合を決めること
  2. 遺産分割の方法を決めること
  3. 法定の相続人を廃除すること(相続人から除く)
  4. 法定相続人以外の者に財産を遺贈すること
  5. 遺言執行者を指定すること
  6. 子を認知すること
  7. 後見人を指定すること
  8. 寄付行為、信託等

遺言の種類

遺言には3つの種類「自筆証書遺言」「秘密証書遺言」「公正証書遺言」があります。
種類によって、作成方法・検認の有無などの特徴が違ってきますので、違いをしっかりと把握してください。
主に利用されるのは、「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」です。

自筆証書遺言

遺言者が全文、日付及び氏名を自筆で書いて、署名押印して作成されたもの。
封筒に入れて封をすることは要件ではありません。
遺言の存在自体を秘密にできますが、後に偽造で争われることもあります(遺言の無効確認)。
自筆証書遺言を保管していた者は、相続開始後に、家庭裁判所に検認の手続きをとる必要があります。

秘密証書遺言

遺言の内容を誰にも知られたくないときに作成する遺言書のことです。
証人2人の前に封書を提出して自己の遺言書であること及び氏名・住所を申述し、公証人がその証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、証人とともに署名押印して作成します。
家裁の検認が必要です。

公正証書遺言

証人2人が立ち会い、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授し、公証人がこれを筆記して遺言者及び証人に読み聞かせます。遺言者と証人がその筆記が正確なことを確認したら、各自署名押印し、公証人が以上の方式に従ったものである旨を付記して署名押印して作成します。
偽造が争われることは少ないですが、証人に立ち会ってもらうため遺言書の内容を秘密にはできません。
検認の必要はありません。

遺言を残した方が良いケース

・遺産の大半が自宅のケース
自宅を売却して分ける以外の遺産分割の方法がなくなってしまいます。

・親の土地の上に、子が建物を建てている場合
建物を建てている子供が土地を相続することになると、他の子(その子から見れば兄弟)に対してお金(代償金)を支払わないといけないことになります。

・同居している子と、別居している子がいる場合
法定相続分としては、全員同じ扱いです。面倒を看てくれた子に対して優遇したい場合は必要となってきます。

・子の妻から介護などをしてもらっている場合
子供の妻は親族ですが、相続に関しては他人の位置づけとなります。相続人ではありません。子供の妻にも遺産を分けたい場合には遺言書に遺贈の内容を書かなければなりません。

・配偶者がすでに亡くなり、次は複数の子同士が相続人となる場合
「二次相続」と言います。子同士の争いが起こる可能性が高いので、遺言を作って親の意思を子に理解してもらい争いが起こらないようにしましょう。

・子の中で特に財産を多く与えたいものがいる場合
法定相続分としては、全員同じ扱いです。親の事業を引き継いでくれる子、家を引き継いでくれる子などを優遇したい場合は必要となってきます。

・子がいない夫婦で、配偶者と共に、兄弟姉妹・甥姪が相続人になる場合
妻に対して自宅やその他の財産を残したい場合は、遺言に書いておくといいでしょう。

・二回以上結婚しそれぞれの妻との間に子がいる場合、認知した子がいる場合
子供たち全員で遺産分割の協議を行なっている場面を相続できますか?子同士の間で争いや放置が起こる可能性もあります。遺言書を作っておくほうが無難だと思われます。

・遺言により、認知をしたい場合
生前に言いにくいのはわかります。そのため、遺言で認知ができるのです。しかし、生前に認知をしておいたほうが残された者が楽かもしれません。ケースバイケースで。

・事実婚による内縁の妻がいる場合
内縁の妻は、配偶者ではありません。相続人でもありません。残してあげるものがあれば、遺言書を作っておいてあげてください。

・再婚し、妻の連れ子がいる場合
妻の連れ子も一緒に暮らしていれば本当の子供のように思えてくることもあるでしょう。しかし、養子縁組をしない限りは、法律上の子ではありません。残してあげたい財産がある場合は、遺言書に書いておく必要があります。

・同族会社や個人事業者で、後継者を指定し事業を継承させたい場合
後継者以外に株式や事業用の財産を相続させないために、遺言が必要になります。遺留分についても、考慮していかなければなりません。

・相続人以外に財産を与えたい場合
遺言書がない場合は、法定相続人で法定相続分の割合で分配されてしまいます。法定相続人ではない方に財産をあげたい場合は、遺言書が必要です。
または、生前に贈与する方法も選択肢としてはあります。

・独身の場合
親や兄弟も亡くなっている場合、すべて国に寄付するかたちになります。
お世話になった方がいる場合、遺言書があれば遺贈することができます。

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